---南風のたび風景写真(特別編)---

           帰省2000 〜夕日を見に行く〜 (2000年12月)

21世紀を迎える今年の帰省は車で帰ることにした。
何年か前にも車で帰ったことがあるが、あの時は夏だったので車中泊も苦にならなかった。今回は冬である。
それに雪も少し心配だ。(ほとんど雪道は走らないので、雪道は苦手である。)一気に埼玉から長崎まで走る
のもつまらないので、途中二日ほど宿泊して「31日にでも辿り着けばいいかな」と思っている。でも本当は
「20世紀最後の日没を長崎の海で見よう」と密かに決めていたのだ。

29日、朝3時半、眠たい目を擦りながら出発。しばらくは一般道を走ろうと南へ向かう。真夜中の道路は交
通量が少なくて走りよい。

東松山の辺りを過ぎたあたり、高架橋を降りると、道路の真ん中に猫?がこちらを見ながら座っている。
(ように見えた)車が近づいても動こうとしない。ブレーキを踏んでも間に合わないのでそのまま猫の上を走
った。車は猫の上を通り過ぎたが轢いたような感触はなかった。ほんとに猫だったのだろうか?雪の固まりが
落ちていたのかもしれない。出発早々肝を冷やしたので、一般道は諦めて高速に乗ることにした。

鶴ヶ島から練馬(関越自動車道)、環八、東名とスムーズに走れる。5:35、足柄PAで休憩。天候は曇り...
寒い。さらに無性に眠くなる。7:00、あきらめて富士川PAでまたまた休憩。曇っているので、雪の富士山は見
えない。静岡で降りて「安倍の大滝」に寄り道しようかとも考えたが今回は止めた。

富士山が見えなくなるところまで来た頃、すっかり天気は良くなってきた。まぁこんなものだ。陽を浴びなが
ら走る車の中は暖かい。眠くなってくる。(またか)牧之原PAで朝食。うどんを注文したが出てくるのが遅い。
9:00頃、浜名湖PAまでやってきた。浜名湖に反射する太陽の光が眩しい。
  
浜名湖

浜名湖を過ぎてしばらく走ると、渋滞にはまった。事故渋滞らしい。インターひと区間過ぎるのに約1時間か
かる。事故の現場辺りを過ぎる頃、もう事故のあとはない。正面に雪をかぶった鈴鹿山脈が綺麗に見える。

名古屋を過ぎ、大垣ICで高速を降りる。ここから「養老の滝」はすぐだ。養老公園の駐車場に車を止める。こ
の時期滝を見に来る人はほとんどいない。滝までの道沿いのお土産屋もほとんど閉まっている。滝に近づくに
つれて、道に雪が多くなってきた。滑らないように気を付けながら歩かないといけない。養老の滝は落差30m
の滝である。「孝行息子が老父のために水を汲んで帰ったところ酒に変わった」という孝子伝説がある。

滝を降り、県道56号を関ヶ原方面へ走る。国道21号を西へ。「ここら辺りが天下分け目の決戦の地かぁ」と思
いながら走る。道路は雪のあとで濡れているが雪はない。関ヶ原の戦いは、どの季節だったのだろう。
米原、彦根を通過する。予定より早めに近江八幡に到着。近江八幡は古い町だから、ゆっくり歩けば見所充分
なのだけど、予定してなかったし、やることがないので琵琶湖の湖沿いを走り、途中でシートを倒して休憩。
 
近江八幡の芦原

5時過ぎに、前日予約した近江八幡YHに入る。予約を入れたにもかかわらず予約が入ってなかったが、宿泊者
は多くないので大丈夫である。ここのユースは文化庁の有形文化財らしい。
 
  
近江八幡YH
 
12/29は近江八幡ユースに泊まる。夕食は近江牛のステーキ。朝-2度。車は霜で真っ白だ。今日は山口までの
予定。そんなに急ぐことはない。フロントガラスの霜を取り除いたあと出発。琵琶湖大橋を渡る。橋のたもと
の道の駅で休憩する。むか〜し、修学旅行で琵琶湖大橋の麓に来た記憶があるなぁ。
 
琵琶湖大橋
 
雄琴の街を抜け、西大津バイパスから名神高速へ入る。京都、大阪を通り過ぎ、西宮で高速を降り、阪神高速
の高架下、国道2号線を走る。6年前の震災の跡は見あたらない。気づかないだけかもしれないが・・・
 
阪神高速の高架下
 
神戸の街を過ぎ、明石海峡大橋を左に見ながら、そのまま休憩せず、車を走らせる。明石を過ぎ、加古川バイ
パス、姫路バイパスを走る。姫路城に立ち寄ろうかどうしようか迷ったが、そのまま姫路バイパスを西へ向か
う。姫路は、学生の頃「姫路城」を見に訪れたことがある。どうやって行ったのかほとんど覚えていないが、
「姫路城」の記憶だけは残っている。今度またゆっくり来よう。

岡山県に入ったあたり、ナビの画面に滝の名前が見えたので、思わず寄り道してしまう。なんでも「深谷の滝」
というらしい。2号線を降り、狭い道を進む。車が2〜3台止められるところに辿り着く。滝は小さい。水量
が少なくちょっとがっかりである。
2号線に戻ると午後1時を回っている。山口まで辿り着きたいので、備前ICより山陽道に乗ることにする。

さすがに疲れてきた。このペースではどう見ても明るいうちに山口YHに入ることは不可能なので、高速を走る
ことにする。

12/30、小谷SAで休憩したあと、さらに西へ走る。防府東ICで高速を降りる。防府も一度ゆっくり歩いてみた
いが、そのまま262号線を北上山口へ向かう。以前、仕事で防府を訪れたことがあったなぁ。確か毛利家のお
屋敷の中にゴルフ場があったような気がする。NHKの大河ドラマの影響で観光客も多かった。
 
山口YHに到着したときはすっかり夕暮れ。途中ナビのデータがおかしく迷ったから少し遅くなった。ツタのか
らまる洋館がYHになっている。前日、「養老の滝」の駐車場でガイドブックを見ながら予約した。YHに到
着すると、チェックインなんかなくて、そのまま部屋に案内されてすぐに入浴。今日の客は夫婦一組と二十歳
の子の四人だけらしい。そのため部屋は大部屋に一人きり。ここのYHは夕食に毎回グラタンが出るらしい。
食事もうまい。9時に手作りケーキとコーヒーで団らん。ここで初めて宿泊カードに記入する。夜はさすがに
寒い。なかなか寝付かれなかったため、朝寝坊してしまった。
 
山口YH
 
12/31。今日は長崎の海で今世紀最後の夕日を見る日だ。朝、小雨。夕日を見ることができるのかなぁ〜。
長崎に着いたとき雨だったら、海に寄らずそのまま家へ帰ろう。
 
その前にちょっと、山口にある滝を見ることにする。前の日に地図を見ながらチェックしておいた。(笑)
 
「犬鳴の滝」ここは国道376号線からKDDのでっかいパラボラアンテナを見ながら左折し県道を走ると左手に
駐車場がある。ここから500mほど歩く。結構疲れる。
 
「鳴滝」山口市内へ戻り国道262号線を防府方面に向かうと左手に鳴滝園の看板がある。途中、猿の集団の様
な猫の集団が車に寄ってきた。毛が猿色の猫ばっかりで、まるまる太ってたから猿そっくりである。滝は道路
からすぐのところにある。
 
「鼓の滝」は山口の古刹龍蔵寺の境内の中にある。山口三名瀑の一つだが、大したことはない(....怒られる
かな)999の滝があって、世の中が乱れるともうひとつの滝が出現し千滝(龍)となって大洪水を巻き起こす
らしい。

そうこうしているうちに昼を過ぎた。12:50に小郡で今回2度目の給油をして高速に乗る。日没までに長崎ま
で到着できるのだろうか?

12/31、12:50。小郡から高速に乗る。山口でちょっと時間を使いすぎたな。長崎の日没は何時だろう。間に
合うだろうか?天候は曇り、夕日を見ることができるだろうか?あとはただ走るのみ。

関門海峡を横目に見ながら走る。やっと九州までたどり着いた。九州自動車道は鳥栖JTCで長崎自動車道、大
分自動車道、熊本方面への九州自動車道に分岐する。この大晦日に道路工事で少し渋滞、でもすぐに渋滞は解
消した。佐賀県に入り金立SAで休憩、長崎まであと少しだ。その後は一気に諫早まで走る。天候は良くなって
きた。太陽が眩しい。しかし太陽は大きく傾いてきた。

諫早ICを降りると車が混んできた。このままだと日没までに海が見えるところまで辿り着けない。ナビで脇道
がないか捜しながら走る。国道57号線から県道55号線へ右折、このまま真っ直ぐ行けば橘湾だ。

海が見えてきた、太陽がさらに傾いて行く。このまま路肩に車を止めようかと思いながらも、もう少し、もう
少しと先に進む。もう少し走ると愛野の展望台があるはずだ。

日没まであと10分ぐらいだろうか、愛野展望台に到着。ここ長崎の日没は、埼玉に比べると遙かに遅い....
ように感じる。もっとも埼玉じゃ秩父の山々に日が沈んでゆくからな。
橘湾に夕日がきらきらと輝いている。ずっとむかし、石油ショックのあと、この橘湾には石油を備蓄するタン
カーが何艘も浮かんでいたが、今はまったく何もない。ただ海が見えるだけ。
 
20世紀最後の夕日
 
水平線....というわけにはいかなかったが、水平線近くの雲間に夕日がゆっくりと沈んで行く。
20世紀最後の夕日が....
 

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